カメラの色設定
画像処理の精度に影響する色忠実性
医用イメージングを中心に多くの産業用画像処理において重視される色情報。特に病理検査や皮膚科、眼科の画像診断では、色合いを均一にする必要があります。以下では、適切な光源プリセットがなくても、カメラの色設定により、色忠実性・色再現性を素早く簡単に向上させる方法について解説します。
Baslerカメラの色補正
このホワイトペーパーでは、Baslerカラーカメラの運用において色補正が重視される理由や補正の手順について、以下のトピックを中心に解説します。
色の定義、色の表し方
RGB色空間の特長
色補正済みカメラの特長
Baslerにおける4つの色補正手順
カメラの色設定
製造現場でインライン検査を行う場合、モノクロ画像だけでも十分な情報が得られます。しかし、病理検査や皮膚科、眼科の画像診断といった医療・ライフサイエンス分野の撮影では、均一な色合いを再現するために色情報が求められます。
色設定の重要性
臨床検査では、室内環境、照明条件や撮影の時間帯・機材が頻繁に変わるため、画像を正確に比較できる色再現性の高いカメラが必要になります。
画像の色合いは、診断の精度に大きく影響します。一貫した色再現性と色忠実性を確保するには、カメラの色設定を適切に行い、モニターに表示される色の見え方と、日光下の色の見え方をできるだけ同じにしなければなりません。
簡単便利な画像処理機能
画像取得に欠かせないカメラ。多くの産業用カメラには、カラー撮影向けの画像処理機能が搭載されており、カメラモデルを変更した場合でも、色合いを調整できるようになっています。
カラープリセット
ほとんどのカメラは、日光、LED、人工光などに対応したカラープリセット(光源プリセット)を備えています。ビデオ監視などの簡単な撮影なら、一般的なプリセットでも問題ありません。しかし、デジタルパソロジーなどの用途では、細かな色の違いが診断結果に影響するため、実際の撮影対象や照明条件に応じて特殊な色設定を行う必要があります。
カラーチャート
色設定を最適化する際には、カラーチャートがよく使用されます。カラーチャートの色見本と対象物の色を比較することで、カラー値の違い(色差∆E)が得られます。この数値を利用してカメラの色設定を調整すれば、色の不具合を最小限に抑えられます。
参考事例:Basler MED aceの色設定
Basler MED aceは、専用ソフトウェアのカラーキャリブレーター機能を使用して色設定を行います。この機能があれば、適切なプリセットがなくても時間のかかる色設定が瞬時に完了します。
カラーキャリブレーターの仕組み
まず、カラーチャートを使用して撮影画像の色合いを確認します。
次に、明るさを最適な値になるまで調整します。
続いて、ホワイトバランスやカラーマトリックスなど複雑な補正が続きます。
最後に、6軸オペレーターで最適なカラー値を設定します。
これで、既存の照明条件に合った光源プリセットの完成です。特に問題がなければ、色設定のデータをカメラ内に保存した後、ほかのカメラにエクスポートすることも可能です。
まとめ:色設定による医用イメージングの精度向上
信頼性・正確性が重視される医用イメージング。病気の検査・診療・経過観察を行う際には、撮影機材や照明条件にかかわらず、均一な色合いを再現しなければなりません。カメラの色設定を適切に行えば、いつでも高い色忠実性と色再現性を確保できます。
Baslerでは、複雑な色設定を瞬時に完了できるスマートで使いやすいカメラを多数取り揃えています。医療・ライフサイエンス分野の撮影における精度向上や効率化にぜひお役立てください。
医療用途向け製品
特別設計のBasler MED aceをはじめ、豊富な製品ラインナップとノウハウを活かし、画像処理に関する個別のご相談に対応いたします。