ビジョンシステムの画質
ビジョンシステムの画質に影響する要素は、シャープネスやコントラストだけではありません。イメージサイズ、画素数、画像ノイズ、シャッター方式、露光時間などを考慮することも、産業用画像処理においては重要です。以下では、ビジョンシステムの画質を確保する方法について、カメラの性能比較とともに解説します。
画質の評価方法とは?
このホワイトペーパーでは、カメラの画質の評価方法と最適な画質を備えたカメラを選定する方法について解説します。
解説内容
カメラの画質を評価する方法
カメラを正確に比較する方法
「デジタルゲイン」を利用した画質の向上
光量、センサーサイズ、ピクセルサイズ、ダイナミックレンジ、SN比、画素数などの要素が画質に与える影響
カメラの性能比較
最適なビジョンシステムを構築するには、画質に影響するさまざまな要素を把握しなければなりません。欧州マシンビジョン協会(EMVA)が策定したEMVA1288規格を活用すれば、ピクセル特性、飽和容量、センサー性能などの重要指標を簡単に比較できます。
EMVAデータシートに記載されているカメラ仕様は、使用するセンサー、照明、レンズや露光時間、撮影距離をはじめとする測定条件が統一されているため、カメラの選定に非常に役立ちます。
画質:カメラの選定において考慮すべき要素
画質に影響する要素は、産業用カメラも民生用カメラもそれほど変わりません。マシンビジョンカメラか一眼レフカメラかにかかわらず、カメラを選定する際には、以下の要素を考慮するとよいでしょう。
画素数&イメージサイズ:解像度と光感度に影響します。
量子効率(QE):光を電気信号に変換する効率を指し、暗い環境で撮影を行う場合などに重要になります。
SN比(信号対ノイズ比):ISO感度が高い場合などの画像ノイズに影響します。
ダイナミックレンジ:明暗差の処理能力を指し、コントラストや色再現性に影響します。
輝度&照明:照明条件を決定する要素として画質に影響します。
シャープネス:レンズの種類や画像処理方法によって異なり、全体的な画質に影響します。
コントラスト:画像の鮮明度に影響します。
以上の要素を考慮してカメラを選定すれば、ビジョンシステムの画質を最大限に引き出すことができます。
画質に影響する要素
画素数&イメージサイズ
画素数とイメージサイズは、画質を大きく左右する要素です。センサー上に配列された画素には、光を電気信号に変換する役割があり、その数が多いほど、より詳細な画像情報が得られます。 また、光を電気信号に変換する効率を量子効率と呼び、センサーによって値が異なります。量子効率が高いほど、画像情報は多くなるため、画質の向上につながります。 このほか、画質に影響する要素としてピクセルサイズがあります。ピクセルサイズが小さくても、画素数が多いと画像ノイズが増大するため、大型センサーの画質が必ずしも優れているとは限りません。センサー、画素数、ピクセルサイズを総合的に考慮し、最適なバランスを取ることが大切です。
画像ノイズ&SN比
デジタルカメラを使用した撮影では、センサーの受光量の変動やカメラの電気回路で発生した電子ノイズなどにより、画像内に粒状のちらつき(画像ノイズ)が発生します。
画像信号に含まれる画像ノイズの量は、SN比(信号対ノイズ比)の値を見ればわかります。SN比が高いカメラは、ノイズの影響を受けにくいため、画質が高いといえます。
カメラを選定する際には、イメージサイズ、画素数、露光時間、コントラストに加え、画像ノイズに影響するSN比も考慮するとよいでしょう。
ダイナミックレンジ
カメラの画質は、ダイナミックレンジ(明暗差の処理能力)によっても変わります。特に露光時間が短い場合、ダイナミックレンジが狭いと、受光量が多い部分はより明るく、受光量が少ない部分はより暗く映るため、白飛びや黒つぶれが発生し、画質が低下してしまいます。 高画素の大型センサーを搭載したカメラは、ダイナミックレンジが広く、画像の明暗をバランスよく表現できるため、明るく光るナンバープレートと暗い場所にいるドライバーを認識しなければならない交通監視用途などで大きな威力を発揮します。
まとめ:ビジョンシステムの画質の確保
ビジョンシステムの画質を確保するには、上記で解説したカメラ性能のほか、システム全体の観点から以下の要素を考慮することも求められます。
撮影目的
環境光
撮影要件
Baslerは、カメラの選定からビジョンシステムの構築をトータルにサポートしています。長年のノウハウと豊富な製品ラインナップを活かし、用途に応じて最適なソリューションをご提案いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。
関連製品
用途に応じてカメラ、レンズ、照明を最適に組み合わせることで、ビジョンシステムの画質を最大限に引き出します。