エンベデッドビジョンシステムに適したインターフェースとは?
インターフェース徹底比較
高性能なエンベデッドビジョンシステムを構築するには、最適なインターフェースの選定が欠かせません。以下では、帯域幅やケーブル長などを比較しながら、各種インターフェースのメリットとデメリットについて解説します。
エンベデッドビジョン用インターフェースMIPI CSI-2
このホワイトペーパーでは、エンベデッドビジョンの世界で注目されているMIPI CSI-2インターフェースの重要性と機能について、以下のトピックを中心に解説します。
MIPIとは?
MIPI CSI-2において定義されていることと定義されていないこと
MIPI CSI-2のメリットとは?
MIPI CSI-2に関する注意事項
エンベデッドビジョンシステムの性能を左右するインターフェース
画像処理にかかるコストを抑えるなら、エンベデッドビジョンを活用したソリューションがおすすめです。
コンパクト&パワフル - プロセッシングボード
カメラ、プロセッシングボードなどから構成されるエンベデッドビジョンシステムは、コンパクトさを大きな特長としており、ドローンやロボット、スマートフォンなどの小型機器に簡単に組み込めます。
プロセッシングボードの中核を成すSystem on Chip(SoC)
インターフェースの選定要件
インターフェースを選定する際には、以下の要件を考慮するとよいでしょう。
帯域幅:帯域幅が広いほど、データの収集・処理・解析にかかる速度が向上します。
ケーブル長:ケーブルの取り回しは、伝送中の信号ロスに大きく影響します。
コスト&信頼性:現在の市場には、低コストかつ信頼性の高いインターフェースが多数あります。
代表的なインターフェース メリット&デメリット
USB 2.0、USB 3.0、MIPI CSI-2をはじめ、エンベデッドビジョンシステムにはさまざまなインターフェースが使用されています。代表的なインターフェースを整理したうえで、それぞれのメリットとデメリットを以下の一覧表にまとめました。
USB 2.0 | USB 3.0 | パラレルインターフェース | シリアルインターフェース | MIPI CSI-2 | |
---|---|---|---|---|---|
標準化 | ✔ | ✔ | ❌ | ❌ | ✔ |
SoCへの対応 | 大部分のSoCに対応 | ハイエンドのSoCに対応 | 一部のSoCに対応 | FPGA搭載のSoCに対応 | 多くのSoC(通常は6レーン)に対応 |
帯域幅 | 40MB/秒 | 360MB/秒 | メーカーによる | メーカーによる | 1レーン当たり300MB/秒 |
ケーブル長 | <5m | <5m | 50cm | 3m以下(メーカーによる) | <30cm |
必要なスペース | 大きい | 大きい | 小さい | 小さい | 小さい |
&プラグアンドプレイ対応 | ✔ | ✔ | ❌ | ❌ | ❌ |
開発コスト | 低い | 低い | メーカーによる | メーカーによる | メーカーによる |
USB 2.0&USB 3.0
全体的な開発コストを抑えたい場合は、USB 2.0やUSB 3.0がおすすめです。
USB 2.0:大部分のSoCに対応しており、USBポートがあればカメラとSoCを接続できるため、ハードウェアコストを最小限に抑えられます。ただし、帯域幅が40MB/秒しかないため、高速・高解像度撮影には適していません。
USB 3.0:USB 2.0を上回る360MB/秒の広帯域幅を誇るほか、ドライバー、カメラSDKが標準化されているため、Linux ARMをはじめとする幅広いOSのエンベデッドビジョンシステムをスムーズに運用できます。また、プラグアンドプレイでカメラモジュールを接続できることも大きな魅力です。
USB 2.0、USB 3.0はいずれもコネクターが大きいため、スペースにある程度の余裕が必要になります。また、USB 3.0については、ハイエンドのSoCにしか対応していません。
パラレルインターフェース&シリアルインターフェース
標準化されたインターフェースが必要ない場合は、独自のパラレルインターフェースやシリアルインターフェースを使用するのも一手です。
パラレルインターフェース:一般的にフレキシブルフラットケーブルを使用してプロセッシングボードに接続します。パラレルビデオ入力付きのSoCが必要になるため、使用可能なSoCが限られます。また、ケーブル長は50cmまでしか伸ばせません。
シリアルインターフェース:カメラとFPGA(Field Programmable Gate Array)を接続する場合におすすめのインターフェースです。こちらも接続にはフレキシブルフラットケーブルを使用します。ケーブル長については、メーカーにもよりますが、1m以上伸ばすことが可能です。
シリアルインターフェース、パラレルインターフェースは、使用するカメラとSoCに対応するドライバーが必要になります。
MIPI CSI-2
複数のレーンを使用してデータ転送を行う場合は、MIPI CSI-2がおすすめです。
MIPI CSI-2は、MIPI(Mobile Industry Processor Interface)アライアンスが策定した第2世代のカメラシリアルインターフェースとして、スマートフォンをはじめとするモバイル機器のカメラとSoCの接続に広く使用されています。
複数のカメラを接続可能なSoCには、一般的に6本のシリアルレーンが搭載されています。1レーン当たり最大300MB/秒の広帯域幅を誇るため、高速・高解像度撮影にも対応できますが、ケーブル長は30cmに限られます。
また、カメラとSoCに対応するドライバーがない場合は、専用のドライバーやソフトウェアスタックを開発する必要があるため、時間とコストがかさむおそれもあります。
まとめ:エンベデッドビジョンシステム向けインターフェースの選定
エンベデッドビジョンシステムに適したインターフェースは、帯域幅、ケーブル長、設置スペース、ドライバーの有無、使用するSoCの種類などによって異なります。Baslerでは、USB 2.0、USB 3.0、MIPI CSI-2、パラレルインターフェース、シリアルインターフェースに対応したカメラモジュールを豊富に取り揃えていますので、ぜひお気軽にご相談ください。