低光量環境下での高感度近赤外線(NIR)カメラ
近赤外線カメラの特長
「近赤外線」は可視光線に隣接する波長範囲の一部に属しているため、人間の目には見えません。近赤外線対応の産業用カメラは、交通監視など低光量の環境下において、この波長範囲で撮影を行う必要がある用途で一般的によく使用されています。以前までは、これらの用途に対して高価なCCDセンサーを搭載した赤外線カメラを使用しなければなりませんでした。
しかし、現在では最新のCMOS技術により、850nmを超える範囲の近赤外線に対する感度を向上させたセンサーが登場しています。これらのセンサーでは、モノクロセンサーよりも層が厚い基板を使用することで、可視光の波長範囲を広げています。新しいCMOS技術により、近赤外線に対する感度が高い産業用カメラの製品ラインナップを通して、より低いコストで近赤外線に対応できるようになりました。これにより、マシンビジョン市場におけるシェアも拡大しています。
近赤外線に対応したams社製の2MPセンサー(CMV2000)や4MP(CMV4000)を搭載した近赤外線カメラ、またはe2V社製の1.3センサー(EV76C661)を搭載した近赤外線カメラの場合でも、850nmの領域において40%近い量子効率を確保できます。近赤外線に対応していないカメラと比べると、この波長における感度は2倍になっています。
近赤外線カメラが必要な用途
一部の用途と検査ソリューションでは、高い波長や通常の光量でコントラストの高い画像を撮像するために近赤外線が必要となります。標準的な産業用カメラは、利用可能な画像を撮影するために非常に良好な照明条件を必要とするので、特定の使用場面においてすぐに限界に達してしまいます。これらの照明条件を整えるには膨大なコストと複雑な作業を伴うため、システムコストの上昇とコストパフォーマンスの悪化を招きます。近赤外線対応センサーを搭載した産業用カメラを導入することで、このような検査を必要としているメーカーの負担を大きく軽減することができます。
代表的な用途として、夜間の照明条件が悪い中で行う交通監視での利用、位置を感知する分光法で傷んだ個所を検出する果物・野菜の検査、そしてエレクトロルミネセンスによる太陽電池用ウエハーの検査などが挙げられます。
近赤外線センサーを搭載したカメラのメリット:
赤外線範囲における非常に良好な感度
多くの劣悪な照明条件下における高いコントラスト
多くの検査対象物の特殊なスペクトル特性による高いコントラスト
CCDカメラよりも手頃な価格設定
実績ある製造工程と品質の高さ