リアルタイム性
マシンビジョンはその用途の多くにおいて、設定された時間内に画像データの取得・転送・評価を行う必要があります。これは「リアルタイム性」と呼ばれており、システムやその構成要素、そしてそれらと通信を行うソフトウェアに対してこの用語が使用されています。
カメラにおけるリアルタイム性は、製造現場や交通速度管制システムなど特に速度が重要視される用途や、照明装置などカメラの動作を他のシステムコンポーネントと同期させる必要がある場合に重要となります。これらの用途には、産業用カメラやネットワークカメラ(IPカメラ)が使用可能です。
トリガー信号と画像の取得との間の最大許容反応時間に対する要件は用途によって異なっており、マイクロ秒から数秒まで幅広く設定されています。
IPカメラのリアルタイム性
銀行内のフロアの監視など一般的な監視を行う多くの場合において、カメラを意識的に操作することなく、画像を継続的に取得する必要があります。カメラのフレームレートが1秒当たり30フレームに設定されている場合は、1/30秒ごとに1枚の画像を取得するために必要な信号が内部で生成されます。
しかし、任意のタイミングで画像を取得することが求められる場合もあります。例えば、交通管制を行う場合は、高速道路上で車両がセンサーを横切った直後に画像を取得する必要があります。BaslerのIPカメラは、トリガー信号を発した直後に画像を取得するリアルタイムトリガー機能を備えています。一般的なフレームレートにおいて、IPカメラに求められる待ち時間はミリ秒単位です。IPカメラでは圧縮画像(MJPEG/MPEG-4/H.264)が生成されるので、産業用カメラよりも必要な帯域が少なく済みます。
産業用カメラのリアルタイム性
産業用カメラは、リアルタイムに画像処理を行うことを前提条件として使用されます。例えば、製造プロセスのコンポーネントを検査する場合、コンベアの上を高速で移動するコンポーネントを厳格に検査するためには、コンポーネントが移動している間に可能な限り迅速に画像を取得する必要があります。正確な検出を行うためには、トリガー信号の受信から画像の取得までに生じる短いタイムラグ、つまり待ち時間を短縮することが求められます。さらに、このタイムラグは一定である必要があり、画像の取得時にジッターの影響を受けないようにしなくてはなりません。フレームレートが高い用途(1秒当たり300フレームなど)では、マイクロ秒単位の待ち時間が求められます。
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