3D製品

空間認識能力を持つロボット:3Dイメージングによる産業用3Dマシンビジョンの進化

物品を迅速、正確かつ簡単につかんで置く。つい最近まで、単純そうに見えるこの作業をロボットに行わせるためには、長期にわたる複雑なセットアップやトレーニングが必要でした。空間認識能力を持ち、人間とほぼ同じように協力して作業ができるロボットは、現実のものではなく、どちらかと言うとSFの世界に登場するものだと考えられていました。しかし、3Dイメージングの工程に様々な変化が起こっている今、マシンビジョン業界において3Dテクノロジー がより大きな役割を果たすようになっています。

空間認識能力を持つロボット:3Dイメージングによる産業用3Dマシンビジョンの進化
ウェビナー

ビジョンが変えるロボットの未来

ロボットビジョンの可能性

このウェビナーでは、ロボットへの搭載に最適な2D/3Dカメラ、ビジョン機器の選定要件、さらにはマテリアルハンドリング、物流、生産処理、品質管理などにおける活用事例を含め、ロボットビジョンの可能性について解説します。

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3Dビジョン の主な用途

複雑な画像処理に対する新たなニーズが期待されるロボットやファクトリーオートメーション、物流の自動化、医療は、いずれも3Dビジョン システムにとって前途有望な分野であると言えます。物流における貨物の迅速かつ安全な輸送など、物体の容量や形状の把握、3Dによる位置の特定や誘導が必要な場合は、3D画像処理が最も効果的です。しかし、3D画像の取得には、どのような技術が使用されているのでしょうか?

現在のところ、3D画像データの生成にはTime-of-Flight、レーザー三角測量、ステレオビジョン、構造化光の4つの方法があります。では、3D技術の仕組みを解説しながら、 これらの方法には、どのような違いがあるのか確認していきましょう。

  • Time-of-Flight

  • レーザー三角測量

  • ステレオビジョン

  • 構造化光

では、これらの手法にはどのような違いがあるのでしょうか。以下で確認していきましょう。

撮影の仕組みと用途

ステレオビジョン&構造化光

ステレオビジョンは人間の目と同じ原理で動いており、2台の2Dカメラで2つの異なる位置から対象物を撮影し、三角測量の原理を使用して3Dの奥行き情報を算出します。この方法では、きちんとした画像を生成するためにデータを合成する必要があるため、平らな面や暗い場所の撮影には向いていません。しかし、構造化光を使用して画像を鮮明かつ構造がはっきりと見えるようにすることで、この問題を解決できます。

用途

ステレオビジョンの大きな特長は、狭い撮影範囲にある対象物を正確に測定できることにありますが、精度を向上させるため、構造化光を使用して目印やランダムパターンを投影する必要があります。また、ステレオビジョンは座標測定や3D測定を行う際に効果的ですが、処理にかかる負荷が大きく、産業用途で使用するとシステム全体のコストがかさむため、生産現場にはあまり向いていません。

レーザー三角測量

レーザー三角測量では、2Dカメラとレーザー光源を使用し、撮影範囲の空間にレーザーで線を投影します。投影された線は対象物の輪郭に沿って曲がるため、複数の画像内における線の位置関係から、対象物とレーザー光源との間の距離が算出されます。

レーザー三角測量
レーザー三角測量の仕組み

レーザー三角測量

レーザー三角測量では、2Dカメラとレーザー光源を使用し、撮影範囲の空間にレーザーで線を投影します。投影された線は対象物の輪郭に沿って曲がるため、複数の画像内における線の位置関係から、対象物とレーザー光源との間の距離が算出されます。

自動運転車
自動運転車

Time-of-Flight(ToF)

Time-of-Flight方式は、奥行きデータの取得や距離の測定に非常に効果的な技術で、ToFカメラを通じて1つのピクセルに対して輝度(濃淡)と対象物からカメラまでの距離(奥行き)の2つの値を取得します。Time-of-Flight方式には、連続光式とパルス式の2つの方法があります。

パルス式Time-of-Flight法では、光パルスの移動時間に基づいて距離を測定するため、非常に高い速度と精度を兼ね備えた機器が必要となります。現在では技術の進歩により、手頃な価格で精度の高い光パルスの生成と正確な測定が行えるようになりました。また、パルス式の場合は、センサー面を効果的に活用可能なピクセルの小さいセンサーを使用するため、連続光式の場合よりも高い解像度で撮影ができます。

内蔵された光源から照射された光パルスは、対象物に当たった後、カメラまで戻ってきます。そして、光が再度センサーに到達するまでの移動時間に基づいて、各ピクセルの距離と奥行きの値が算出されます。算出結果は測定点群の簡単かつリアルタイムな生成に使用され、同時に輝度・信頼性マップが作成されます。

用途

ToF方式は、物流、生産現場における計量やパレットの積み降ろし作業、自動運転車に適しているだけでなく、医療における患者の位置調整やモニタリング、ファクトリーオートメーションにおけるロボットの制御やビンピッキングの作業にも使用できます。

ToF撮影の例
ToF撮影の例

お使いの用途に合った技術

2Dカメラと同様に、3Dカメラについてもすべての作業に対応できる万能な技術は存在しません。そのため、様々な要件を考慮し、優先順位に基づいて最適な技術を選択しなければなりません。

お使いの用途に合った技術を選ぶ際には、対象物の位置、形状、存在、方向を検出する必要があるか、どの程度の精度が求められるか、対象物の表面の状態、お使いの用途における撮影距離や移動速度など、様々な要件を検討すること以外に、実際のコストや作業の複雑さに対応可能な3D技術であるかを判断することも大切です。

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