活用事例

電極塗工の品質管理

塗工検査におけるマシンビジョンの活用

集電体(金属箔)の両面に一定の厚みのスラリーをムラなく均一に塗布することが求められる電極塗工は、電極製造において非常に重要な工程です。マシンビジョンを活用すれば、材料ロスを大幅に削減しながら、塗工不良を迅速に検出することができます。

バッテリーの電極塗工における品質管理

電極塗工について

電極塗工とは、塗布器具(スロットダイ、ドクターブレード、アニロックスローラーなど)を使用し、集電体(金属箔)の両面に事前調合したスラリーを塗布した後、乾燥させる作業をいいます。

電極層とバッテリー性能の関係性

電極層にダマやひび割れがあると、最終的なバッテリー性能に大きく影響するため、電極塗工を行う際には、スラリーの安定性・塗布量を正確に制御しながら、均質な厚みに仕上げなければなりません。

電極の塗工不良の種類
電極の塗工不良の種類(尺度:1mm)、出典:Schoo A, Moschner R, Hülsmann J, Kwade A. Coating Defects of Lithium-Ion Battery Electrodes (...). Batteries. 2023; 9(2):111. https://doi.org/10.3390/batteries9020111

電極の塗工不良

連続塗工、間欠塗工などの塗工方式にかかわらず、スラリーの粘度や塗工装置の精度によっては、さまざまな塗工不良が発生する可能性があります。

代表的な不良

  • a. ダマ

  • b. ひび割れ

  • c. ブツ(ゴミ)

  • d. 気泡

  • e 泥状割れ

  • f. ピンホール

  • g. たれ

  • h. すじ

画像処理の課題

厳しい画質・速度要件への対応

高速(最大80m/分)で動く電極塗工ラインを検査するには、高精細の画質を実現しながら、大量の画像データを取得する必要がありますが、従来のビジョンシステムの場合、処理能力の面でこれらの要件を満たすことが難しい状態でした。

Basler電極塗工向けビジョンソリューション - 品質管理の精度向上に貢献

バッテリーの電極塗工における品質管理
 FPGA画像処理開発環境VisualAppletsによるROI設定
左:ROI設定前の不良画像(解像度:5056×1032)、右:ROI設定後の不良画像(解像度:96× 44)

画像の前処理によりCPU負荷を軽減

シート材の検査に最適な高感度ラインスキャンカメラracerまたはracer 2VisualAppletsフレームグラバーを組み合わせてビジョンシステムを構築し、ROI(関心領域)を設定したうえで、画像を前処理すれば、解析に必要なデータ量が大幅に抑えられるため、CPU負荷を軽減しながら、産業用コンピューターのリソースを従来の作業に回すことができます。

pylon画像処理ツールによる塗工不良の分類
pylon画像処理ツールによる塗工不良の分類

pylon画像処理ツールによる塗工不良の分類と良否判定

次の工程では、pylon画像処理ツールを使用して以下の作業を行います。その際、pylon AIを選択すると、AIアルゴリズムによる画像解析を行うことも可能です。

  • 塗工不良の分類

  • 良否判定

塗工不良が検出された場合は、対象部位を切り出したうえで、不良の種類を特定し、良否判定を行います。このようにして、不良が許容範囲内であるか、追加の測定が必要であるかを確認すれば、材料ロスを最小限に抑えながら、バッテリーの品質を向上させることができます。

使用製品

‍‍ご紹介したソリューションの導入には、以下‍の製品が最適です。

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