導入事例

サッカーの判定におけるマシンビジョンの活用

顧客
vieww GmbH
所在地
‍ドイツ・アーヘン
‍日付
2023年
ゴールライン・テクノロジーの一例

‍概要

‍サッカーの試合の勝敗を分けるゴール判定は、時として物議を醸すことがあります。1966年のFIFAワールドカップにおける「ウェンブリーのゴール」で知られるように、ボールがゴールラインを越えたかどうか疑わしい場合、専門家やファンの間で長く論争が繰り広げられることも少なくありません。   

‍そこで、近年は審判の目に頼るだけでなく、‍マシンビジョンを活用したビデオ判定も導入されるようになりました。   

ゴールライン・テクノロジー(GLT)

‍マシンビジョンによりボールの位置確認やゴール判定を補助するゴールライン・テクノロジー(GLT)。そのうち、2013年にドイツ企業のvieww社(旧GoalControl社)が開発したGoalControl-4Dは、同年にFIFAの認可を受けた後、2014年のFIFAワールドカップ・ブラジル大会で正式採用されました。  

ビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)

‍今やカメラの用途は、ゴール判定の補助だけにとどまりません。vieww社が開発したFIFA公認のビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)システムは、バーチャル・オフサイドライン(VOL)の表示を含め、試合全体の細かな動きの記録することが可能で、レッドカードやイエローカード、オフサイドの判定の精度が向上した結果、判断が難しい場面における誤審が大幅に減少しました。  

‍2022年からは、vieww社とその提携先の運営会社により、ジャーマン・フットボール・リーグ(GFL)においてもVARシステムが導入されています。

‍サッカーの試合のさまざまな場面で活躍する審判補助システム

‍課題

プロの選手が高速でボールを操るサッカーの試合において、オフサイドやゴールの判定を行うには、わずか数ミリの誤差を見極める必要があります。しかし、競技場にいる大勢のファンやテレビの前の視聴者が、審判の判定を長く待ってくれることはありません。そのような中で、素早く正確な判断を行うのはまさに至難の業です。  

‍マシンビジョンによる判定の精度・信頼性の向上

‍判定の精度・信頼性を向上させる技術の導入が叫ばれるなか、V‍ARやGLTにより試合のあらゆる動きをリアルタイムに記録・分析する審判補助システムの開発が求められました。   

cs-vieww

‍ソリューション

vieww社が新たに開発した審判補助システムのうち、フレームレート200fpsのカメラ14台から構成されるGLTシステムは、サッカースタジアムの各所からボールの動きを正確に追跡し、審判に必要な情報を提供することで、判定の精度向上に貢献しています。なお、システムの信頼性評価については、認可を行ったFIFAが担当しており、毎年厳しい実地試験が実施されています。    

‍カメラモデル

‍‍今回の事例では、GLTシステムの中核を担うカメラとして、充実のコンピュータービジョン機能とpylon‍によるスムーズなセットアップを特長とするBasler ace 2 Basicのカラーモデルが選ばれました。このカメラにはBasler単焦点レンズと特殊な筐体が採用されており、高性能なグラフィックカードと冷却ファンを搭載したミニコンピューターと組み合わせて使用されます。 

‍マシンビジョンシステムによる試合内容の解析

‍システム要件

‍高速で展開される試合の状況を追跡しながら、一つひとつの動きを鮮明な映像とともに視聴者に伝えるには、フレームレートはもちろん、画質も重要になります。しかも、今後もテレビ放送の高画質化が進むと予想されることから、シャープネス、コントラスト、色再現性などの細かな調整も求められます。

‍また、GLTシステムはスタジアムに定常設置されるため、天候条件を考慮したうえで、それぞれの建築構造に合わせてカメラの角度や撮影範囲、照明を決定しなければなりません。とはいえ、事前にきちんとキャリブレーションをしておけば、リモートによる運用が可能になるため、スタジアムやリーグ、連盟の関係者にとって大幅なコスト削減につながります。 

Basler社とは長年のお付き合いをしておりますが、弊社製品に特化したソリューションを個別にご提案いただくなど、顧客の課題に真剣に取り組む姿勢を高く評価しています。市場の幅広いニーズにお応えするため、今後もBasler社と良好な提携関係を構築していきたいです。
vieww社マネージングディレクター
Matthias Engelhardt氏

‍正確な判定を実現する優れた画質

vieww社では、SDI信号を高画質なJPEG画像に変換することで、GLTシステムで撮影した画像をVARシステムにも活用しています。その際、細かな動きを見逃さないようにするため、一般的な写真撮影と同様に画像を一枚ずつ取得します。今回採用されたBasler ace 2は、通常のテレビ放送に使用される50fpsではなく、高速の200fps‍に対応にしているため、より多くの画像を審判に提供できます。なお、通信機器については、vieww社製のインテリジェントなサーバーとクライアントが導入されており、データ転送の負荷を抑えたスピーディな応答を実現しています。

‍このほか、ミリ秒単位の精度によるカメラの同期も大きな特長で、画像処理とサーバー転送が効率化された結果、ボールの追跡や生中継、試合内容の記録などに必要なリアルタイムなデータのやり取りが可能になりました。ゴールの瞬間を正確に捉えた画像を瞬時に表示できるようになった今、ボールがゴールラインを越えているかどうかについて長く論争する時代はもう終わったといえるでしょう。 

使用製品

‍‍ご紹介したソリューションの導入には、以下‍の製品が最適です。

‍お問い合わせ

Baslerの製品・サービスに関してご不明点がございましたら、いつでもお気軽にお問い合わせください。